食事・お酒の席で見るマジックの印象

以前に、突然食事中や電車内でカードを広げたりするのはあまり好ましくないというお話をしましたが何故なのか、どの様な場合なら良いのかということについてです。

 

場所と雰囲気によると思います。

 

それはそうだろう!と言う話なのですが、具体的にどのような場合に良くてどのような場合に駄目なのかをお話しようと思います。今回はディナーショーなどのように事前に決まっている場合ではなく、ごく一般的な食事や飲みの席に限定しています。

 

ベストだと思うのは”相手が自分をマジシャンだと知っている上で振ってきた場合”でなおかつ”お酒が入っていない”状況。中々ないシチュエーションだと思いますが、やはり絶好のチャンスだと思います。

まず、相手が「何かできないのか?」という言い方ではなく、「何かマジックをしてくれないか?」という言い方の場合、相手は理由がどうであれマジックを見たいと思っています。

マジシャンと話をしているときに、相手にマジックを見たいと思わせることが一番難しいと聞いたことがあります。私もまだマジックに慣れ親しんでいない頃は、マジックを見たい見たくないという以前に、周りの人がマジックを出来る可能性が頭の片隅にもない訳です。そのため、こちらから「マジックを見たい」と思うのはものすごく難しいので、何かしらのきっかけが無いと中々出来ない…と言うわけです。

マジックは意外と見る側にも集中力が必要なので、自分から見たいと思っていないと疲れてしまう事があります。ここだけの話ですが、私はマジックを見たいと思うことは少なく、その理由は”疲れるから”です。もちろんそれ以外にも、どう反応したらいいのか分からなくなってしまったというのもあるのですが…。観客が疲れてしまうが故に、観客の集中力が持たず、上手くマジックが出来ないという経験もあるのではないでしょうか。

しかし、自分から見たいと思った観客はマジックに集中してくれます。そのため失敗の可能性は少なく、多少手が掛かったり時間がかかるマジックでもしっかりと見てくれる可能性が非常に高いです。

お酒で集中力が低くなる可能性もあるので、観客が素面の方が良いと思います。(自信が無いマジックやフラッシュが心配な場合はお酒で集中力を無くし、ぼんやりと見てもらうのも良いかもしれませんが。)

 

 

可もなく不可もなく、雰囲気や相手によって良いか悪いかが決まるであろうシチュエーションは、”自分から見せるという旨を伝えて見せる”こと。

日本人の性質的に、見せると言われて「いいや、見ない。」と断る人はそう居ないでしょう。先にマジックを見せるといった類のことを言ってしまえば見せられると思います。

しかし、半ば強制的に見せてしまうことでネックになるのは、相手の集中力とリアクションです。食事の席ではゆっくり食べることだけに集中したい人や、飲みの席では落ち着きがない人、場合によってはスマホをいじっていたりなど、集中するどころか片手間に見られてしまうことが懸念されます。失敗する可能性が高くなってしまいますが、私が知る限りではこういったシチュエーションが多いのも事実です。

このような時に見かけて、上手いなと思った見せ方は、”突然取り出して何も言わずにマジックを始め、相手が「何してるの?」と興味を持つのを待つ”など、相手に「え?なになに?」と興味を持たせ、その後何をするか言わずにマジックをするという流れでした。興味を引くのが上手く、相手の集中力が途切れたり、失敗したのを見たことがありません。

しかし、この方法は相手によっては「なんだこいつ」と思われるだけの可能性もあるので、失敗以前に人として少し格下げされてしまう場合があるかもしれません。もしやるのであれば自己責任で…。

 

 

そして、個人的に思う最悪なシチュエーションは”お酒が入っている相手が茶化すようにマジックをリクエストしてきた時”や”既に自分で謙遜してしまっている時”です。それから、これは当たり前ですが、その場にそぐわない時。よほどのことが無い限りレストランなどの、マナーが重点的に見られる場では避けたほうが良いと思います。デートなどの、相手からの好意を重要視する場合もやらない方が無難です。

茶化された場合はまだ挽回の余地があります。むしろこれは、自信のあるマジシャンにとっては周りをあっと驚かせる絶好の機会なのだと思います。しかし、私の知る限りではそのようなマジシャンは片手で数える程もおらず、人に見せるのは勇気が…というような人が多いイメージがあるので、挑発的な相手を嫌う傾向があるのではないでしょうか。

このような人の場合は、完璧なマジックを見せるのが一番良いのですがそれが難しいから困るというもの。”あえて見せない”と言うのも一つの手ではないかと思います。もったいぶって見せないと、段々と周りがマジックを見たいと思うようになり、結果的にマジックに集中してくれるかもしれませんし、そのまま話が流れるかもしれません。

そして一番問題だと思うのはやはり自分でマイナスなことを言って予防線を張っている場合。以前もどこかの記事でお話ししましたが、マジシャンが自分自身でするマイナス評価ほど残念なことはありません。だったらやらなければ良いし、マジックより自信があることをしたら良いのではないかと思います。マジックをリクエストされる時は”盛り上がる何か”をリクエストされているのであって、必ずしもマジックでなければいけないというわけでは無いと思います。飲みの席では尚更です。無理してマジックをするのは、マジックショーと謳っている場合のみで良いのではないかと思っています。

少しでも心のどこかに”人にマジックを見せよう”と言う気持ちがあるのなら、自分のマジックの価値を下げるような発言はしない。または、そのような事を口に出さないというのを心がけると、周りからの印象が違います。

そもそも一般人はどの程度マジックが出来ればどの程度すごいのか、どうなれば現象が起きるのか、どうなれば成功なのかなんて分からないので、自信が無くても失敗しても知らんぷりして次のマジックに移るのが良いと思います。わざわざ自信が無いだとか失敗しただとかいう必要は無いです。自信満々に堂々と失敗してください。

 

 

少々話が逸れましたが、私が思う食事・飲みの席でのマジックの印象でした。

私はマジックを見る側なのでなんとも言えませんが、例えば自分の目の前でタロット占いを始められたりして困ったり少し気になる場合はそれと同じで、マジックをしたら相手が困ったり気になるかもしれません。

 

ここからは特に個人的な印象なので、人によって違うかもしれません。

ファミレスなどでは、カードを使ったマジックはいかにもと言う感じがして、少々周りの目が気になります。コインであればまぁ…と言ったところでしょうか。食事の席で遊ぶというのはマナーが良くないと思う部分もあるので、マジックに限らず、何かをするというのはあまり良い印象ではありません。

カフェなどの、時間を潰したり一息つく場所の場合は特に気になりません。時間を潰す・話す・一息つくなどの、時間を優雅に利用することがメインだからです。そこにはほんの少しの遊びとしてクロースアップマジックなどを見るのは大いに有りだと思います。それも一つの時間の使い方です。

逆にお酒が入っていたりして、皆が騒いでいる場合は大変盛り上がるような気がします。やはり飲みの席でどんちゃん騒いでいる時に、何か盛り上がる芸があるというのは凄いなとさえ思いますし、感動したり尊敬したりします。(この場合はみんなで盛り上がることがメインなので気になりませんが、もし2人でお酒を飲むために行くといった場合だと少々気になるかも…?)

 

今はもうマジックを見るという事に慣れすぎてしまっている上に、どこでもかしこでもやる人はやるという理解(?)があるので、以前のように引いたり驚いたりすることは無くなりました。できるだけ、初期に私が受けた印象を書いたつもりですが、それでも多少一般とはズレてしまっているかもしれません…。

人によって受ける印象は違いますし、一概にどこが良くてどこが悪いとは言い難いですが、見る側からの意見として参考までに。

 

 

(Alice)

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