タネが見破られることと失敗…
タネを見破られる事と失敗する事、どちらをより恐れますか?
恐らく前者だと思います。
タネさえ見破られなければ失敗したとしても、次の機会に演じることが出来ますが、タネが割れてしまっては同じ相手に2度と同じルーティンが出来なくなります。
タネが割れても問題ないのは、とにかく見せる人が多い人、同じ相手に見せる機会が少ない人なのですが、それは外回りをバリバリにやっている人くらいだと思います。
同じ相手に二度と見せないとしても、タネが見破られてしまうのは避けるべきだとは思いますが…
まぁ、失敗した上でタネが割れると言うのが最悪なのは間違いありませんヽ(=´▽`=)ノ
ちなみに、「日本の観客は疑り深いのでやり難い」という話をチラホラ聞きます。
私はキャリアの半分以上が海外だったので日本人に見せる機会というものが、他の日本でやっているマジシャンなどに比べたら遥かに少ないです。
見せる日本人と言ったら、留学生か出張で来ている日本人くらいなので当然ですね。
私の個人的な考えですが…
「日本人は疑り深いのではなく、常識がある」と考えています。
常識と言うのは一般教養と言い換えたり、科学的な常識と言くことも可能です。
エセ科学にころっと騙される方も大勢居ますが、それでも日本は世界的に見たら教育水準が平均的に高く、国民のほぼ全員が読み書きが出来るという珍しい国です。
(今度これについて詳しく書こうと思います)
閑話休題
タネが割れてしまうことと失敗すること、両方が同時が起きるケースとして、スライハンドがあげられます。
スライハンドの失敗はほぼフラッシュ(秘密の動作や物が見えてしまうこと)が同時に起きるからです。
最初にも書いていますが、失敗だけならまだしも見ている人にタネが分かってしまったら同じマジックは出来ません。少なくともそこでは。
それがルーティン全体に使われるような根幹的な技法だったらその場で詰んでしまう可能性すらあります。
不思議さを最優先している私としては、失敗以上にタネがバレることを致命的だと考えています。
スライハンドでフラッシュしたら、「この人は技術でマジックをしているんだ」という印象が付きますし、「技術」「テクニック」という印象が付いてしまうと演者の不思議さが減ります。
メンタル系をメインにしている人の宿命かもしれませんが、手先の技術でやっていると思われたくないのです。なので、スライハンドで解決する部分は本当の意味でシークレットムーブである必要があるというわけです。
まぁ…スライハンドがメインの人でもシークレットムーブが見えてしまうのは極力避けるべきだと思いますがね…(^ρ^)
わざとフラッシュしてるんですか?って人が一定数居るので、もしかしたらシークレットムーブとフラリッシュを同じレベルで考えてる人が意外と多いのかもしれませんが、シークレットムーブはその名の通り見せる技術ではありません。
スライハンドは一朝一夕で身につくわけではありませんし、身についたとしても演者の負担が高いので、よほどスライハンドが好きな人ではない限りは、セルフワーキングやオートマティック系の現象に手を出した方が良いのではないかと私は考えています。
たまに「フラッシュは仕方ないし、演出でカバーすれば良い!」という話も聞きますが、演出はあくまで基礎ができた上でやることだと思っています。
その上で犯してしまった失敗を演出でカバーするというのは完全に間違いではありませんが、技術水準が低い人がコレを言うとただの言い訳にしか聞こえません(^ρ^)
ちなみに、日本ではセルフワーキングを見下す人が比較的多いような印象があります。
原理さえ知られていなければ下手なスライハンドよりよほど不思議で面白いのにも関わらず…
見下される原因はセルフワーキング系を解説しているものが日本語では少なく、小学生等がやるような物をイメージする人や、初心者向けという誤った印象を持っている人が多いからだと思います。
実を言うと私はオートマティックとセルフワーキングの区別があまりできていません(^ρ^)
恐らく近しい概念ではあると思うのですが、一時期はセルフワーキング+スライハンドがオートマティックだと思っていたこともあります。
最近、オートマティック系のレクチャーノートを読んでいて、
オートマティックは、自動的に現象が起こるように環境を整える、
セルフワーキングは、原理的に現象が自動的に起こる、
つまり、「セルフワーキング+スライハンド→オートマティック」という考え方は間違いではなく、オートマティックの中にセルワーキングとスライハンドの要素も含まれているのでは無いかな?と思っていますが、どうなんでしょう?
(教えて!偉い人!)
ちなみに、セルフワーキングの良いところは、ジャンボカードでも出来るものが有ることですね!これかなり大きいです!(物理的にも)
補足ですが…
原理が知られていることと、タネを見破られることは別です。
ここは言っておかないと誤解されそうな気がしました。
原理が知られていたとしても実際に演じてみて「さっぱりわからなかった」というのは珍しく無いですし、そういう経験をしたことがある人は沢山いると思います。
観客に知識があったとしても、どのタイミングで使っているかさえ分からなければバレることはまずありませんし、巧妙にやれば後から思い出すということもありません。
(論理的思考により、現象から原理を導き出される可能性は残りますが)
問題はルーティン中に原理が露呈してしまうと、発動するタイミングまでもがセットで分かってしまうので、完璧な解答を相手に渡してしまうということなります。
スライハンドオンリーの場合、やり方が見て分かってしまったら、少し変わった派手さの少ないジャグリングと同じ…と言うよりはジャグリング以下の、器用さを細々と見せるだけの芸になります。
不思議さが損なわれたものはマジックではありません。
フラリッシュはマジックではないという話があります。
これには完全に同意します。ただ不思議さの無いマジックは楽しさで言うとフラリッシュ以下だとも思っています。
個人的にフラリッシュは結構好です(^ρ^)
やりませんが…
フラリッシュをやると見ている人の技術に対するハードルが上がり、余計に手元に集中させることになり、マジックがやり辛くなると思っているからです。
その視線に耐えうるだけの超絶技巧があれば良いのですが、残念ながら私の技術ではそこまでの視線に耐えることは出来ません/(^o^)\
だからこそ策を弄するわけです……
たまに「上手いだけ」と言われる人が居ますが、上手いのは絶対的正義です。
面白いかどうかは別として、シークレットムーブが見えないのであればそれだけでマジックですし、不思議な事がきっちり起きているならそれこそがマジックです。
そしてマジックが不思議なことを指す以上、それはマジックとして面白いのだと思います。
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