スヴェンガリとミラージュ
スヴェンガリデックとミラージュデックについてのあれこれ。
原理を知っているという前提で書くので、知らない方は実際に買う、或いは調べるなりするか、ここで引き返すのが良いかと思います。
スヴェンガリデック
スヴェンガリデックはアメリカではあまり使えないという噂も聞きますがソースが怪しいです。(何かの有名な商品のおまけで付いてきていたとか云々)
私が最初に手に入れたきっかけは、マジックワールドというテンヨーが出しているマジックセットに付属されていたことによります。
存在自体は結構早くから知っていましたが、マジック歴が浅い時は割とスライハンドさえ出来れば良いと比較的良くあるパターンの考え方をしていたので、ギミックに興味が無かったと言うこともあり持っていない時期の方が長かったりします。
今ではギミック、トリックデックが好きですし、これを読んでいる方もそう言う考え方の変化を経験したことがあるかもしれません。
ちなみに、このマジックワールドは付属の冊子を目当てに購入したので、道具系はほぼ手付かずのままですが…(ぉぃ)
まぁ、そんな入門向けのセットにも含まれるくらい基本的な道具というわけです。最近では、デアゴスティーニの『隔週刊ザ・マジック第5号』にも付属されていましたね。こちらはちゃんとしたバイシクルのライダーバックです。そしてやはり第5号にして出て来るくらいには基本的な...ry
スヴェンガリという名称と悪影響
ザ・マジックの冊子を読んだか方は知っているかと思いますが、スヴェンガリという名前は、フランスの小説『ザ・トリルビー』に出てくる催眠術で人を操る悪役の名前から取られています。(スヴェンガリーとも語尾が長音になる方が一般的なようです)
この小説の影響は凄まじく、世界規模で今も存在する催眠術師に対するネガティブなイメージはほとんどここから来てると言っても過言では無いくらいです。
本人の意思とは関係なしに人を操れる、視線を合わすだけで催眠術に掛けれるってのはまさにこの小説とスヴェンガリーの影響です。しかも事実とは違うだけに余計にタチが悪いですし、この影響が無ければ現在の催眠術関係はもっと進んでいたかも知れません。
スヴェンガリ・デックの問題点
なお、私自身は確認していませんが、100円ショップにも売っているそうなので、スヴェンガリデックの仕組みを知っている人は少なくないようです。それだけに同じ機構のギミックデックを使うのに気が引けている方も多いかと思います。
知られていることを知らないマジシャンも一定数居るようで、ツッコミが入るとかなんとか…
ミラージュ・デック
ミラージュデックはスヴェンガリの派生で、もう一工夫されたデックです。
個人的な意見ですが、スヴェンガリとミラージュは完全互換品ではありません。
構造が若干違うことで挙動が異なり、それによってそれぞれ使いにくい部分があります。
ミラージュ・デックのあれこれ
ミラージュデックはその加工のせいで実際にカードを触った人から「なんか変なカード」だと思われることがあるので、観客にカードを選ばせる時に工夫が必要になってきます。逆にスヴェンガリデックは観客に選ばせるときには良いのですが、カードの改めに関しては相対的な弱さがあります。(ミラージュはカードに慣れていない非マジシャン、完全な一般人が持った瞬間に「変わったカードですね」と言われた場面を見たことが有ります)
用途の違い
スヴェンガリ
どちらも観客にフルデックを渡して改めをすることは出来ませんが、1枚だけ渡すような事がある場合はスヴェンガリデックに優位性があります。
特にメンタル系では話の運び方や態度でデックの改めが必要ない場面がよくあり、そしてカードを(1枚だけ!)相手に渡すケースが多々あります。
このようなケースではスヴェンガリの方が向いています。スヴェンガリ独特の現象を起こすというよりは単純な少し改めが出来るフォーシングデックという立ち居地にいます。私の中では。
ミラージュ
そして、テクニカルな雰囲気でやる場合はミラージュのほうが良いとも思っています。
ミラージュデックでは観客がカードを選ぶ時に裏向けにスプレッドして1枚選んでもらうという方法も使えますし、選ばせ方にバリエーションを持たせることで同じ現象を少しずつ演出を変えて連続で見せることが出来ます。
現象が連続で起こるのであれば、観客に毎回カードを持たせて確認する必要がなくなりますし、連続で起きるということはテクニカルよりの演出になり易いかと。(途中でフェイスをスプレッドして見せることも出来るのも強みですね)
結論:
ミラージュデックとスヴェンガリデックは似ていますが、性質が違うので演出や用途で使い分けをした方が良い。
ギミックとしてはミラージュデックのほうがより完成はされてはいますが、状況によってはスヴェンガリデックの方が使い勝手が良いので用途や好みに合わせて使えば良いわけです。どちらがより優れてるってことはありません。
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