マジシャンのためのサービス&ビジネスマナー
何故このような記事を書こうと思ったのかと言うと、とあるマジシャンがクライアントとメールでやりとりをする時に「これで合ってるのかな?」と言っていたのです。趣味からビジネスに代わるとこういう少し細かい”日本特有のビジネスマナー”による問題が出てくるようです。
私は学生時代にビジネス能力検定や、サービス技能検定などを学び準一級の資格を習得しました。そもそもどんな検定なのかというと、例えばビジネスメールの書き方や言葉の使い方。正しい敬語と話ことばとしての敬語などを学ぶものです。実技もあり、シーンによって変わるお辞儀の角度や電話応対、店員になりきり接客…などなど。ある程度のサービスについて学んだ経験があります。
そんな私から見た、マジシャンのサービスやビジネスマナー的観点において気になった事をいくつかお話しようと思います。
言葉
言葉遣い
まず何よりも言葉遣い。
話し言葉では、どうしても敬語がおかしくなってしまう場合があります。ステージで緊張してそれどころではない場合も考えられます。個人的に、話し言葉が崩れてしまうのは仕方がないと思います。咄嗟に対応しなければいけない場合がありますし。ただ、可能であれば敬語の程度をそろえると良いと考えています。
例えば「マジックをご覧にいれましょう。」と言うのであれば「お好きなカードを1枚お選びください。」とするべきですし、「マジックをします、見てください。」とするのであれば「この中から1枚選んでください。」と言うなど。
「摩訶不思議な現象、刮目せよ!」と言うのであれば、「感じるがままに1枚選びたまえ!」とすると良いですよね。まとまりがあります。
つまり、敬語の程度や言葉の種類を揃えることによって、キャラクターが出来ます。これはパフォーマー特有のもので、本来であれば場面や周囲の雰囲気などによって、使う敬語の程度を変えていく必要があります。
文面での敬語
これはマジシャンに限らずですが、文面でやり取りをする際に間違った敬語を目にすることがあります。
例えばビジネスメールの出だしで
お疲れ様です。
△△の件ですが~
とメールを送る場合。
これは社内の人に送る時の書き方とされています。社外の人やクライアントに送る場合は
お世話になっております。
△△の件ですが~
となります。本来「お疲れ様です」という言葉を目上の人に使っても特に失礼はないので、社外の人に使っても問題はないはずなのですが、”ビジネスマナー”においては不適切であるとされています。
また、「お疲れ様でございます。」というございます調は最上級の敬語なので、本来間違いではないです。「サザエです」をさらに丁寧にすると「サザエでございます」となるのと同じです。ただ、敬いすぎると馬鹿にしていると思う人が一定数存在します。ビジネスメールはですます調が無難です。(そもそもお疲れ様ですという挨拶は社内の人に送る場合なので、そこまで敬う必要もないです。)
もしマジックの仕事を受けた際にやり取りが必要で、クライアントが親しい人の場合は「ねぇ○○さ~」と話す場合もあると思いますが、そうでない場合は「お世話になっております。」から文章を書き始めると無難です。しかし、ある程度付き合いがあって他人と言うほどではない場合や、相手が「お疲れ様です」と送ってきたら「お疲れ様です」と送りましょう。文面は相手に合わせることが何よりのマナーとされています。
また、「ご苦労様です。」や「お世話様」と言う言葉は使わないようにしてください。
「ご苦労様」は目上の人が自分の為に働いてくれた人に対して感謝の気持ちを込めて使う言葉で、「お世話様」はご苦労様という意味が含まれています。
代わりとして「お疲れの出ませんように。」という言葉がありますが、今は使われていません。「ご苦労様」の代わりに使える敬語が無いので、話の流れによって別の言い回しをするのが無難です。
服装
それから、このブログでも何度か話題に上がっている服装。
これも本来はTPOに応じたものにする必要がありますが、パフォーマーの場合は、衣装を使う人も居ますよね。その方が記憶にも残りやすく良いと思います。
しかし、今回はビジネスマナー的に見たという内容で書いているので、本来の正装を一応…。
正装について
結婚式など、主役が居るイベントを盛り上げる、所謂スタッフとしてマジックをする場合。この場合は、基本的に黒いスーツで、ラインの目立たない黒いもの。ベストの着用も忘れずに。靴も茶色ではなく黒とするのが好ましく、ネクタイは赤などの派手なものではなく、紺や水色など着いた色味のものが良いです。髪色も暗くし、前髪は顔が隠れたり不潔な印象にならないようにワックスなどを使って両目がきちんと出るようにします。お辞儀などをした後に手で髪を整えるというのは、衛生上も印象も良くないとされているのでお辞儀をしても乱れない程度にしっかり整えます。
このようにする理由は簡単で、主役を目立たせるためです。スタッフはできるだけ目立たない格好にし、不快感を与えない格好にします。
自分が主役の場合
イベントのステージなど”自分が主役”のステージの場合は、自分主体で進めて良いのでクライアントから指示が無い場合は自分の好きな服装で良いのではないかと思います。主役がマジックの現象なのであれば自分自身は落ち着いた色味にするというのも良いでしょうし、主役はパフォーマである自分だというのであれば派手な衣装でも良いのではないでしょうか。
服装を決める際は、何が主役なのかを考えると決めやすいです。
会社員とは違い、マジシャンなど自営業の場合はやり取りが本人の印象に直接関わってくるので、きちんとした知識を付けることは大切だと思います。
マジシャンとしての快適なビジネスライフのために。
(Alice)
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