元ブライダル関係者による失敗に対する考え方
マジシャンが「失敗したらどうしよう」「タネがばれたらどうしよう」と言っているのを耳にしたことがあります。
アマチュアなら良いのですが、その発言がプロのものだった場合、あり得ない悩みです。
前回の私の投稿でもお話ししましたが、私はブライダルの会社のフラワー部署に勤めていました。
新婦が持つブーケや新郎のコサージュ、トスブーケ、チャペルのお花や会場のお花、ご両親にお渡しする花束など、様々なものを製作していました。
新郎新婦と、当日何のお花でどのようなアレンジやブーケを作るか、どのようなテーマにするかといった事を決めるたの打ち合わせが何度かあります。
何のお花をいくつどこに使うかという事が決定したら、お花を市場に発注。同時に、必要な小物や資材(リボンやアレンジメントのカゴ)などを発注します。
お花が届いたら水揚げという処理をします。輸入品だと稀にお花が切りっぱなしでお水に浸かっていないものもあるのですが搬入されたお花だと見わけがつかないため、全てのお花に水を吸わせる作業です。余分な葉を取り、茎を切り、繊維を露出させ水を吸わせます。
また、平日はこの作業に合わせて、休日に行われていた挙式の撤去作業があります。慣れない都内をハイエースで走り、会場へ向かいます。会場に着いたらお花と小物をすべて回収。
平日は挙式の為の下見や会場の見学に来るお客さんが多く、それまでに撤収を終わらせなければいけません。大体朝10時くらいまでに、3か所の会場全ての回収作業をします。何かが残っていたりすると、挙式当日への信頼が薄れてしまうので何も残してはいけません。
一通りの作業が終わると、次はいよいよ商品の製作に移ります。1週間に少なくて5~6件、多くて25件の挙式で使うフラワーアイテムをすべて担当します。
アレンジメントを作ったり、ブーケを作ったり、その他いろいろな商品があるため、時間が足りず残業なんてことも多かったです。さすがに泊まり込みはありませんでしたが…終電がなくなってしまい帰れなかったことは何度かありました。
結婚式は一生に一度と言う人が非常に多いため、絶対に失敗が出来ません。
途中でブーケやアレンジメントのお花が抜けたり取れたりしてはいけませんし、製作が間に合わなくてもいけません。それに加え、例えば花嫁がブーケを落としてしまったなどのアクシデントも起こり得るので、考えられるすべての可能性を考慮し、対策をし、本番に備えます。何度も確認をして納品します。
また、お客さんに会う時は結婚式のサービスに不安を感じさせないように、常に意識して行動しなければいけません。
このように、一般の職業で特にサービスの質が求められる場合はお客様への印象や心構え、対策と準備が非常に大事になってくるのです。
マジシャンもそうなのではないでしょうか。
お客さんに手品を見せるという職業です。お金を取るのであればの話ですが、最高のサービスを最高のクオリティで提供するという気持ちで取り組むべきだと思うのです。
そのため、「失敗したらどうしよう」や「タネがばれたらどうしよう」と言う言葉が全く理解できないのです。練習不足や技量不足をただ隠すための言い訳に過ぎないし、それは甘えではないのかと思います。
「失敗する筈ないし、万が一してもアウトを用意している」とか「タネがばれることはないし、万が一ばれてもそこから広げる話を用意しているから困らない」とか、そういう気持ちで取り組むべきだと思います。
不安要素があるならお金を取ってやるべきではありませんし、プロを名乗るべきでもありません。
プロ・アマ関わらず非マジシャンからマジックをする人と思われている以上それなりの心構えと準備が必要なのではないでしょうか。
(Alice)
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